鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

義父のメッセージ

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なんとも情なや 情なや。義父の訃報を聞いて駆けつける高速道で急激な腹痛と出血。痛みをこらえて高速道をおりて廿日市の総合病院へ。その間も三度の出血。血液検査 エコー 触診 問診の結果は虚血性大腸炎。血液の通りが悪くなったところが破裂して出血を起こす ということらしい。それそのものは大して恐れるものではないが、便器が血に染まることからビックリしてしまうのだそうだ。しばらくは安静にということで、引き返すことにして葬儀会場へは翌日に。
 
 通夜会場につくと、一同悲しみのさなかにもこの情ない長女の婿を気遣う言葉になんとも恥ずかしや。今頃到着して申し訳ないと平謝り。
 
通夜というのに寝ずの番が寝るの番。もちろん酒はダメ! 葬儀本番もお腹が重くて身体が重くて思考や行動回路も働かずに役立たず。挙句には精進落としで急に食べたせいか、再び絶不調で耐えられずに退席。
 
さて、義父は生前はとても厳格だった。理屈で縦に割るところがあった。理屈に合わないことは認めなかった。そんな父を前に妻と弟はたいへんだっと述懐する。そんな義父ゆえに義母もこの酒呑みの婿にどんなに不安を覚えただろう。
 
喪主である義弟の涙ながらの挨拶の中に、そんな父の厳格さをDNAとして子から孫たちに受け継がれながら、恥ずかしくない生き方をしていきたいと述べた。
 
この長女の婿はというと よりによってこんな大事な時に大失態を演じてしまった訳だけど、今考えると、日頃の不摂生の警告だけではなくて、義父からのなんらかのシグナルだったのだろうかと、そんな思いがふと頭の中をよぎった。
 
今月のはじめに次男が結婚したが、その式場には義父の姿はなかった。そして孫の結婚を見届けて往ったのである。義父のことである。孫の結婚式まではと、死に物狂いで病魔と闘っていたに違いない。そんな義父に敬意を表したい。今はただ、安らかにお眠りいただきたいと思う。私はあなたの期待にこたえられる男ではなかった。あなたの大事な娘にひとり苦労を負わせ、幸せにはしてやれなかった。ただただそのことにお詫び申し上げたい。
 
今回、義父はこの私になにを求めたのだろうか。葬儀の作法の中に引導を渡す儀式がある。僧が死者に迷いを去り悟りを開くよう説き聞かせることだ。義父もまた、私になんらかの引導を渡そうとしたのではないかと、そんなふうに思えてならない。