ドイツ文学者池内紀(おさむ)さんが、8月30日に亡くなられた。享年78歳。早すぎる。
著書「すごいトシヨリBOOK」を手にした。この本を書くにあたっての心情が綴られている。
「ちょうど70歳になった時のこと。僕は市販の手帳を買ってきて、最初のページに『すごいトシヨリBOOK』と書きました。そういうタイトルをつけて、周りに70の黄色い星をちりばめた。真ん中には描いた少ししぼんだ顔が、70歳の自画像です。
自分が老いるというのは初めての経験で、未知の冒険が始まるのだから、『こういうことはこれまでなかった』とか、『これぞ年寄りの特徴』とか、日々、気がついたことを記録するための、『自分観察手帳』を作ったのです。
さらに星を七つ書き加えて、『77歳には世にいない』という『予定』を立てました。僕はむしろ、『もういない』という前提のほうが行動しやすいと思った」
さらに
「そんな、しぼんだ顔のある手帳をつけ始めてから7年。今年はちょうど77歳になるので、もういないはずの人がいることになる。そこで僕は、『満期が来たら3年単位で延長する』というルールに変えました」
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77歳にして、今ここにいないはずの自分がいる。人生を急ぎ過ぎず、焦らずと、逆算をして老いを慈しむ。がばいばあちゃんの「生きているだけで丸儲け」という言葉が浮かんできそうだ。
そして満期が来てこれから3年ほど人生を延長する、その1年後に亡くなられた。まだまだ何度も延長してほしかった。けど、自分の人生を慈しむようにいかれた先生に悔いはないだろう。
この本、まだ途中ですけど、焼酎のロックをカラカラしながらご一緒した時を思い出します。70歳まで僕はまだ7年あります。下りの人生を楽しみ、70にして楽しくふり返られる自分でありたいと思っています。
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