この映画、改めて観ていいなー。
「ちはやふるー結びー」
競技かるた日本一をめざして高校生たちが熱く燃える。
MOVIX周南に足を運んだのは18年の春。まだコロナとは無縁の日常だった。平日の映画館では珍しく中高生の生徒たち。そうか、卒業したのだ。どの子も手には山盛りのポップコーン。
この映画の面白さは、百人一首の世界も織り交ぜる。カルタオタクを演じたのは上白石萌音。千年も前に詠まれた詠み人の、相手を思うその心を現代に生きる若者たちが今の自分と重ねる。主役の広瀬すずにふたりの高校生が思いをよせる。ひとりは努力家の野村周平と、才能豊かな新田真剣佑(まっけんゆう)。この人、千葉真一の息子さんなんですねえ。
たとえばこの二首
恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめしか
壬生忠見(みぶのただみ)
しのぶれど 色にいでにけり わが恋は
物や思ふと 人の問ふまで
平兼盛(たいらのかねもり)
この二首とも思う相手は同じ。その思いを歌に託して競う。時代は平安末期。軍配は兼盛に挙がる。
この映画を観た若者たちは、きっと小倉百人一首のファンとなるに違いない。広瀬すず、野村周平の両主役の演技が光る。それを囲む若手の俳優もすごい。矢本悠馬はあの男の子がこんなに成長したかと思わせる。清原果耶は今や朝ドラのヒロインをつとめる若手ナンバーワン。上白石萌音はこのときまだ19歳で初々しい。いずれも名子役として子役時代からのなじみのある顔ぶれ。ベテラン俳優の國村隼や松田美由紀の安定した演技が全体を支える。高校生かるた界のクイーン役松岡茉優のコミカルな存在感がユニーク。ただ、セーラー服姿の高校生役はちょいとアレだけど、それもまたいいかな!(^^;)!。
末次由紀の大ヒットコミックを実写映画化した「ちはやふる」3部作目の完結編。青春映画ではあるが、空を切る板かるたと飛び散る汗に、観るこちらも手に汗握る。おとなが観ても満足感いっぱいの映画間違いない。
さて、ふたりの恋の行方? それは観てからのお・楽・し・み。