鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

やると言われたら もろうちょけ

f:id:taitanuki:20210910111301j:plain

【やると言われたら、もろうちょけ】

キュウリをたくさんいただいた。食べきれないほどいただいた。

若いころ、近所の年寄りに言われたことがある。

「やると言われたら、もろうとけ」

なぜかというと、二度とくれなくなるからと。(;゚;ж;゚; )ブッ.

永六輔さんから教わったことがある。といってもラジオ番組で語っていたことなんだけど。永さんが言うには、施した側がありがとうという。これはイスラムの教え。日本で言えばお遍路さんが八十八か所を回りながらお接待をうける。これと似ているのだそうだ。お遍路さんは仏様なので、お接待をする側がありがとうの世界。食べ物はいただけるし、お金までくれることがある。

キュウリがたくさんあるから、近所にさしあげたところ「そないなもんはいらない」と言われた。あゝそうかそうかい。アンタには二度とやらん。と、こうなってはとても悲しいこと。

断るにしても、言い方がある。「今、うちにもたくさんあるから他の人にまわしてね」。とか、「ウチにもたくさんあるけど、孫たちに送ってあげる。わあ嬉しい」とか言えばとても平和になる。

島は分け合えば余るの世界。差し上げたり、いただいたりの世界。思想家の内田樹(たつる)さんは、この輪が大事だと言っていた。

「やると言われたら、もろうとけ」

これにもそういう意味があるんだろう。

追伸だけど

エビ網にたくさんのダグマエイがのったので、エイが好きだといつも言っていた近所のオッサンの家に持って行った。そしたらオッサンは不在で奥さんに渡したらとてもイヤな顔をされた。あのときはショックじゃったわ~。

※タグマエイとは毒針を持たない小型のエイ。幅が30センチくらいしかならない。学名はなんていうんだろう。煮付けにするととてもうまい。お客さんに出すと、「エエ? 美味い。なんていう魚?」って聞くので「エイ」と答えると、エエ?って驚く。