鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

今年最初の書物 渋澤敬三「祭魚洞襍考 」

 

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【渋澤敬三「祭魚洞襍考(さいぎょどうざっこう)」】

今年最初の書物「祭魚洞襍考(さいぎょどうざっこう)」著者渋澤敬三。今年はNHK大河ドラマ渋澤栄一に光が当てられ、その孫である渋澤敬三も今話題の人となっています。

祖父栄一氏の後を継ぎ、日銀総裁をつとめ戦後最初の大蔵大臣をつとめました。一方、日本を代表する民俗学者でもあり周防大島出身の宮本常一先生の師でもあります。

僕が最初にこの方の名を知ったのは、ノンフィクション作家佐野眞一さんが書いた「旅する巨人」。宮本常一先生の生来と後に民俗学者へとつながっていく過程で、強烈な印象を受けたのが渋澤敬三氏でした。むしろ宮本先生と同等、いやそれよりも魅力的に感じたほどでした。

本書は 1954年(昭和29年)9月20日に発行されています。ただし、単行本としては1933年(昭和8年)に刊行されています。本書はいまから67年前ですね。氏(1896-1963)58歳の時に発行されています。大きくは二部構成になっていて一部は水産民俗学、二部は「犬歩當棒録」。犬も歩けば棒に当たる。日銀総裁から大蔵大臣に至るまで、あった人や出来事を交えて書かれていていわば随筆。面白いです。最終ページに記された発行元。印刷所が佐野真一となっていてギョ(⊙⊙)!! 作家佐野眞一さんの眞とは一字違い。

ちなみに、祭魚洞とは渋澤敬三の雅号。雅号(がごう)とは、書家・文人・画家などが、本名以外につける風雅な名前のこと。祭魚はカワウソを意味し、魚を捕らえてもすぐには食べずにおくという故事。雅号は自らの書斎をカワウソの巣になぞらえて祭魚洞書屋としていたことに由来。

日本酒の獺祭を思い浮かべた人も多いでしょう。獺もカワウソと読み、獺が捕らえた魚を岸に並べてまるで祭りをするようにみえるところから、詩や文をつくる時多くの参考資料等を広げちらす事をさします。(蔵元旭酒造のホームページから)

一枚目の写真は薩南十島巡行記念(昭和9年5月)。この中に宮本常一先生もいると思うんですが、どこでしょうね? 

十島(としま)