【夢のあとさき】
「僕はこのあと歩いて五条の千本桜の方を通って行きます」
「じゃあ僕は反対の伊崎の方を歩きます」
「ならば僕は地家室の峠越えをします」
「松本さんにお願いです。2時間くらいしたら車でまわって僕らをひろってくれませんか?」
僕はその言葉どおり、2時間くらいして三人を追った。まずは五条を回って片添えの海水浴場まで走ったがいない。そこから農道を通り、外入側から峠に向かった。いない。そこからまた外入へ戻り、伊崎へ走ったがいない。結局三人ともみつからなかった。
これは困ったことになった。すると海の方から声が聞こえた。
「松本さん、ニシがたくさん採れました。これで今夜はイッパイやりましょう」
三人はパンツ一丁で海へ入っていた。まったく困った客だ。こっちも忙しいのに。ええ? 今夜も泊まるのかい。冗談でしょ。他の予約が入っとるのに。
僕も磯に降りて三人のところへ行こうとしたら、岩のアオサに足を滑らせて海の中へ転がってしまった。
「冷て~~~」
そこでハッと目が覚めた。夢だった。おなかのあたりに、ゆうべ呑んだ酎ハイの残りがかかっていた。
なんでこんな夢をみたんだろ。そういえば、出社時刻に間に合わないと「ヤバイヤバイ」とつぶやきながら飛び起きることがいまだにある。もう30年も前のことなのに。
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