鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

周防大島郷土大学2022年度講座 畑中章宏先生

周防大島郷土大学2022年度講座
〈2022年の宮本常一〉全3回
第3回 宮本常一SDGs
講師:畑中章宏
日時:2023年1月29日(日)14:00から
会場:東和総合センター大ホール(山口県大島郡周防大島町平野269-44)
受講料:1,000円(18歳以下は無料)
主催:NPO法人周防大島郷土大学
畑中章宏より:
 近年、日本社会のさまざまな現場や場面で「SDGs」(持続可能な開発目標)の実現が課題とされ、重要視されています。そんな時代に、共同体の生活に根差しつつ公共性への道を探り続けてきた民俗学は具体的なヒントを与えてくれます。
 なかでも宮本さんの民俗学は、民俗調査・民俗研究と農村指導や離島振興に結びつけた点で、持続可能性を追究した先駆的な仕事でした。
 たとえば国連の採択したSDGsの17の目標のうち〈貧困をなくそう〉〈飢餓をゼロに〉は、『開拓の歴史』『甘藷の歴史』などの問題意識と重なります。〈働きがいも経済成長も〉は『生きていく民俗』や『ふるさとの生活』の主題と不可分ではなく、〈産業と技術革新の基盤をつくろう〉は著作集中の『産業史三篇』と関わるものであります。
 〈海の豊かさを守ろう〉〈陸の豊かさも守ろう〉は宮本さんが最も注力した課題であり、非農耕民や移動の民の生活に取り組んだ『海に生きる人びと』『山に生きる人々』が参考になるでしょう。〈住み続けられるまちづくりを〉は『民俗のふるさと』や『日本の村』と重なり合う重要なテーマでした。
 〈人や国の不平等をなくそう〉〈平和と公正をすべての人に〉は『日本の離島』『離島への旅』『日本の中央と地方』などをとおして、宮本さんは実践的な活動に結びつけています。〈ジェンダー平等を実現しよう〉〈パートナーシップで目標を達成しよう〉という課題は、『忘れられた日本人』『庶民の発見』『女の民俗誌』の底流に横たわっているのではないでしょうか。
 今回は、サステナブルな社会の実現を模索してきた宮本さんの仕事が、SDGsを先取りしていたことを学びなおす機会にしたいと思います。
メール:suooshima.kyododaigaku@gmail.com
090-4654-7797(山根)