福島菊次郎さんをして、「自分の立ち位置がわかる」と聞いたことがある。
もう20年以上も前、下関の写真館を訪ねた。挨拶をすると、こんな至近距離と思うほど前に立った。一歩前へ、これがプロのカメラマンなのかと思った。
「僕はね、不器用だから同じところを何回も足を運ぶんだ。でも最近の人はいいカメラを持って、一回撮ったらいい写真が撮れたと勘違いしちゃうんだ」
「憲法改悪反対、原発反対、労働組合運動もやった。でも、何にもしなかったほど何も変わらなかった。この国はもう一度壊れないとダメなんじゃないか」
ひとつひとつの言葉が文字になって記憶に刻まれた。こんなことは初めてだった。
那須圭子さんの著書
「福島菊次郎 あざなえる記憶」
那須さんもまたカメラがコトバとして刻まれる人だ
松本昭司への連絡は
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