いろんな書物を読んで、こういう人物がいたのかということに出くわすことがある。
佐野眞一さんが書いた、関東大震災に乗じて社会主義者殺しで服役後、満州に渡り満州国の帝王とまで言われた「甘粕正彦 乱心の曠野」の甘粕正彦。
同じく佐野さんが書いた「アヘン王」や西木正明さんが書いた
「其の逝く処を知らず―阿片王里見甫の生涯」の里見甫(はじめ)。裏でアヘンを売りさばいて戦費を調達したものの、政商小佐野や児玉とは違って、戦後その存在は表に出ることはなかった。
森村誠一さんが書いた「悪魔の飽食」の731部隊の石井四郎。アウシュビッツの捕虜収容所とならぶ日本軍による捕虜の人体実験や
大虐待をあぶり出した。
この本もそのひとつ。赤松小三郎という人物。初めて聞いた。
坂本龍馬よりも前に、現行憲法にも通じる、それとそん色ない開かれた議会政治と立憲主義に基づく憲法構想を徳川・薩摩・越前に建白していた人物がいた。しかし、維新直前にテロに葬られた。彼をもっとも恐れたのが維新三傑、西郷・大久保と言われる。のちに長州を中心とした新政府が果たした侵略の歴史と
第二次世界大戦にいたる破滅への道。
戦後70年、憲法が「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ人たちによって変えられようとしている今、著者の関良基さんは、
この本を世に出すことに背中を押してくれたのが皮肉にも安倍総理の日頃の言動の数々だと言う。
維新から150年。祝賀ムードに沸く長州にとって面白くない書物であるかもしれない。
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