

葬儀が終わると、
死去その日から数えて七日ごとにお坊様が家までさがってお経をあげられる。
初七日から七七日(なななむか/四十九日)まで続く。
我が家は仏壇と仏間の整理が出来ていなくて、
父の位牌はお寺に預かってもらい、
お寺でお経をあげていただいていた。
そして今日、位牌を家に連れて帰り、
母の隣に置くことができた。
位牌にかぶさった布は七日ごとに一文字づつ開けられていく。
読経の最期に、
「中陰和讃をどうぞ」と声がかかる。
手前の冊子を開く。
中陰和讃には下記のように、
初七日から七七日まで、
さまざまな仏様に支えられて浄土へ向かう道筋が書かれてある。
死者は初七日までにくらやみ峠を越えるとある。
守ってくださるのは不動明王。
光の差さない真っ暗闇の山路をあてどなく彷徨う死者が、
遺された家族が途切れず供えるお灯明によって無事通過する様だろう。
こわい顔のお不動様は、
ここでは暗闇を打ち払う光明の姿なのであろうか。
二七日(ふたなぬか)はこわい。
火ふり峠から逆落としされてしまう。
そして水を頼りに昇って行く。
この水とは、
残された家族が手向けた水をさすのであろう。
それをお釈迦様が静かに見守る。
以降、菩薩様が守る。
菩薩とは修行の姿。
浄土にたどり着くまでまだまだ修行の道。
きょうは四七日(よなぬか)。
生津の川が現われるとある。
「三途の川」は五七日に登場するから、
二つの川があるのだろうか。
死者の身につけた帷子(かたびら)に書かれた「六字の名号」。
「南無阿弥陀仏」である。
初七日まもるは不動なり
くらやみ峠のあてなしと
中陰途切れず称えやり
光明たよりて越えるなり
くらやみ峠のあてなしと
中陰途切れず称えやり
光明たよりて越えるなり
四七日(よなぬか)の今日は生津の川を渡る。
父ちゃん、
次は三途の川だ。
いよいよこの世ともお別れだ。