鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

田舎の生活費はバカ高い

president.jp

親が高齢となったため、神奈川から青森に移住した女性の手記。生活費のバカ高さに驚いたという。

内容は読んでいただきたいとして、山口県の最南端に近い島暮らしをしている身として同じ思いがする。

例えばこのあたりで一番の都会は柳井。とりわけ市役所付近は、車なくてもなんでも揃う。ところが中央に遠ざかれば遠ざかるほど不便極まりない。僕の住む沖家室島からコンビニさえも往復1時間。柳井に出ようものなら半日仕事。しかも週一回でるだけで月に4.5千円のガソリン代。まだ橋があるからいい。浮島や情島など航路を使うか、漁業者なら船で往復。時間も燃料もかかる。周防大島の水道料金は山口県で一番高いと聞いた。

かつて宮本常一は、離島の生活環境の悪さについて「資本主義経済機構へ正しく仲間入り」することこそが貧困や後進性の解決に資すると説いた。

離島に住んでいようと、都心に住んでいようと支払う税金は同じ。しかし、生活基盤の整備は中心地が優先されて遠いとこほど後回し。これでは格差は広がる一方で、人は益々いなくなる。

今後は田舎を優先したインフラ整備をしていかないと、この国ますます衰退する。

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島のエアーズロックは海の中

 

オーストラリアの世界遺産エアーズロック」は、地上に出ている部分は全体のわずか6%で、残り95%は数キロに渡り地中に埋まっていると言われている。

そう考えると、海もそう。例えば僕の住むこの沖家室島も、海上に突き出ているのはほんのわずか。

さいころから自分の船で釣りをしていた。小学4年生のころは伝馬船で、6年生くらいになると動力船が与えられた。どこが釣れるのか、父が言っていた。

海に突き出た突端の先は海の中でも続いていて、そこには瀬がある。瀬とは磯のことで、魚が棲みつく磯がある。

父がよく釣り場にしていた島の裏っかわに「石の上」という瀬がある。確かに釣りをしていたら妙に浅くなり、離れるとストンと落ちる。石の真上では釣れない。その場所は潮が速い。潮が岩に当たり、その裏には魚がいない。岩の手前に潮が当たると下から潮が湧き上がり、餌も湧き上がって魚が群れる。父はその「石の上」の手前にロープを張る。生餌を撒いて、その到達場所に生餌を付けた針を躍らせながら鯛を吊り上げる。これを「ふかせ釣り」と言う。このような場所が無数にある。逆に浜の沖は磯はない。

YouTubeでこの場所を潜った人が映像を上げていた。海の中のテーブルのような、まさにエアーズロックだった。

もう少し行くと、長瀬という磯がある。ここは「石の上」とは事情が違う。突き出た半島の灯台の先は数メートル行くとストンと100メートルくらい落ちる。底は泥質で釣れるのはギンジュウ(トラギス)くらいで釣りにはならない。ナウマンゾウの化石が上がったところでもある。かつては陸地だったのだろう。いや、氷河期で氷続きだったのだろう。

さらに行くと、沖家室大橋が近くなる。長瀬から橋の架かる瀬戸に向かうカドっこに地元ではヨボシという磯がある。本当はヨボシではなく、突端に烏帽子に似た岩があるから「エボシ」。その沖はゾッとする。ヨボシの10メートル先までは、海底から切り立った岩が並ぶ。潮目にあたり、潮が引くと吸い寄せられてえらい目に遭う。その100メートル沖には海底から突き出た岩があり、ここは気を付けろと教えられた。海上には出てはいないが、まさにエアーズロック

そのヨボシのあたりをジョロウイシとも呼ぶ。漢字で書くと女郎石。その目先には対岸の地家室がある。ここにはかつて遊郭があった。沖家室には殿様が泊る本陣があり、泊清寺が本陣だった。地家室は毛利藩直轄の茶屋と呼ばれる、今でいえば迎賓館のようなものだろう。海沿いに遊郭が並び、その先に半島がある。ここを太夫鼻という。太夫とは遊郭の遊女のことで、その遊女が身を投げたことで太夫鼻と言われるようになった。その手前に祠があり、首なし地蔵がある。先日友人が、「松本さん、首なし地蔵があるんですけど、なんなんですか?」と聞いてきた。なにやらいわくつきの気配がするが、なんのことはない。地元の人が言うには、台風でお地蔵さまが海に転がり落ちて引き上げたが首はなく探したが見つからなかったという。今は誰か知らないけど、首の上に石が置かれている。

さて、そのジョロウイシのことだがこれも地元の人に聞いた話。女郎がいうことを聞かなかったら「ジョロウイシに連れて行くぞ」と脅したというのだ。実は他にも説があり、身を投げた女郎が流れ着いたからジョロウイシの名がついたというのもある。いずれにしても、地家室の遊郭と遊女の関係は間違いない。僕が子どものころは女郎がなんやらわからないから、子どもによってはジョロイソと言ったりジョロイスと呼ぶ者もいた。

さて、そろそろ夜が明けてきたわい。一服しようかいの。まるで古老じゃわ。(ง `▽´)╯ハッハッハ!!

古老で思い出すことことがある。佐野眞一さんが書いた「大往生の島」でこの島が大きく話題になった。この本に僕が登場することから、あるところから僕に講演をしてくれないかと話があった。企画をみるとタイトルに「大往生の島の古老に聞く」(だったか)とある。当時まだ40代。ワシャ古老じゃない。

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2000年放送 NHK人間講座 佐野眞一「宮本常一が見た日本」

2000年に放送された、佐野眞一さんナビゲーションによるNHK「人間講座 宮本常一が見た日本」。テキストが見つからないので、映像からタイトルを拾った。

1回 旅する巨人を生んだ島

2回 父から受けた十か条

3回 民俗学者の誕生

4回 旅のスタイル

5回 海からみた日本

6回 庶民へのアプローチ

7回 食料確保の指名

8回 農業のプロとして

9回 離島振興にかける

10回 地域芸能への想い

11回 路上観察者の目

12回 日本人が忘れたもの

この番組は2000年1月から始まり12回シリーズ、3か月に及ぶ番組史上最多のロングラン放送となった。構成は大宅賞を受賞した「旅する巨人」に沿ったものだった。

このたびNHKで放送された民俗学者 畑中章宏先生がナビをつとめた「100分de名著 忘れられた日本人」が大きく話題となったことを機に、ヒョイと佐野眞一さんがナビをつとめた「人間講座」を思い出した。

最近はネット配信のドラマや映画をみることが多く、過去にテレビ番組から収録したDVDはホコリを被っていた。「人間講座」を探すと、あったあった。当時まだビデオテープの時代で、このDVDは12本の番組をVHSビデオテープからDVDレコーダーに取り込んだもの。

さっそくDVDをセットしてパソコンで再生した。そして保存のためパソコンにコピーして取り込んだ。ところがだ。DVDで再生できたのに、パソコンに取り込んだデータを再生するとシリーズがつながって再生できない。

これはどういうことだろう。DVDプレーヤーで録画したものは、パソコンのプレーヤソフトと互換性がないということなんだろか。

もう一つ、最終回の12回が貴重。宮本常一が帰省した当時、薫陶をうけた郷土大学のメンバーが沖家室の泊清寺でインタビューをうけている場面。そしてさらに貴重なのは、宮本常一の妻アサコさんが夫の思い出を語る場面も収録。これは貴重。

久々にDVDプレーヤーを引っ張り出して、モニターに接続して再生してみた。完璧に再生できた。12シリーズの最終の最終場面で、パソコンではやはり再生が不安定だった。この最終場面という締めくくりが一番大事なとこ。宮本常一先生の妻アサ子さんへのインタビューが収録されている貴重な場面。

いやー、ホッとした。

第一回目の収録は、前夜に佐野眞一さんとNHKスタッフが鯛の里に泊った。周防大島を収録する時は、鯛の里に逗留した。第一回のとき酒宴は延々と続き、気が付いたら白々と夜が明けていた。そしてそのまま佐野さん一行は最初の収録場所の下田八幡宮に向かった。僕は急いで食べ物を届けたが、なんぼか眠かろうにと思った。

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タツノオトシゴはメスが卵をオスに産み付ける

タツノオトシゴはメスがオスのお腹に卵を注入し、オスのお腹の中で受精して子どもを産む。

子どものころは網に乗ったタツノオトシゴを持って帰り、家の水槽で飼っていた。でもいつのまにかいなくなっていた。他の魚が食べたのだろう。

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海が遠くになった

愚痴

最近は魚を買わないと食えない。子どものころは父が網を引いて帰ると、ラジオ体操後に船に乗る。不要な虫などを取り除くと、生け簀の中はザコやエビやカニとかタコやイカが残る。エビは撒き餌なので、それは残してあとは家に持ち帰る。30センチ級のジャンボウチワエビがとれると大喜び。より分けと運ぶのが子どもの仕事。

家では海に面した台所で母がシゴをし、アラを窓から投げるとたくさんの魚がよってきた。僕は窓から魚をせっせと釣る。

ほとんどは干して、残りは隣近所に差し上げる。だから近所も魚に困ることはなかった。盆暮れにはザコではなく、日ごろの感謝に立派なタイやハマチを配った。

ところが今、近所には漁師もいない。まったくいないわけじゃないけど、ザコさえくれない。こんなこと書くと、余計でもくれんようになる。波戸にいけば釣れるけど、コロナで釣り禁止になって以来気が引ける。磯に出れば密漁だと言われかねない。光市のフィッシングパークに行く昨今。

海が遠くなった。

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フィッシングパーク光 孫っちと釣り

先日、孫たちを連れて光市のフィッシングパーク光に行ってきた。

コンディションとしては、小潮の干潮で悪い。でもヤハンや小鯛が数匹程度だったけど子どもたちは大満足。から揚げにしたら旨かったとLINEが入った。

隣の親子連れの母親に大きな鯛がヒット。まわりの注目を集めた。ヨシ、オレもと周りの子どもたちも一気にテンション挙がる。

幸いに平日だったので、人も少なかったけど休日はかなりの人だろう。

子どもには無料のライフジャケットが用意されていた。職員も明るく、親切。餌も安価で、貸竿もあるから手ぶらでもOK。我が家は民泊用に釣り具一式揃ってあるから、それを持っていった。

料金は大人690円 小学生は410円。

潮がよければかなり釣れるはず。690円出しても、オカズ代にするとお釣りがくるのではないか。

最近は地元の波戸も、悪いマナー者のお陰で地元の者でも釣りづらくなった。その点、690円出して気楽に安全ならフィッシングパークでもいいのではないか。釣り桟橋には水道もついて、タモ網や救命浮環も用意されている。

暇と潮を狙って、ひとりでまた酒の肴をゲットしに行くか。

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