鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

天理大学 民俗学研究室の実地研修とフォーラム

 28日から4泊でハワイ移民に関する調査実習を行った天理大学考古学・民俗学研究室の17名の皆さんと指導にあたった教授の3名の皆さん。最終日のフォーラム「周防大島とハワイの交流」も、雨の中にもかかわらず会場となった東和総合センターは席がすべて埋まるほどの盛会でした。
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洲崎の墓地から
 
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島のお年寄りから聴きとり(泊清寺にて)
 
 安井眞奈美教授の基調講演「ハワイ移民と故郷・周防大島とのつながり」と題して、移民を送り出す周防大島安下庄港などの明治の写真を紹介、沖家室に残るお宮の玉垣の海外からの寄進先や、雑誌「かむろ」を分析しながら、故郷と移民先の人の交流の歴史を紹介しました。

フォーラムは3部構成で行われ、1部は安井教授の基調講演、2部は調査にあたった学生の報告、3部は会場とのディスカッションという形式で進められました。
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 第2部では学生さん17名が前に勢ぞろい。1914年(大正3年)から28年間に158号発行された沖家室と出稼ぎ先の間で交わされた雑誌「かむろ」にすべて目を通し、自分が担当した号の特徴的なところを紹介するという形式で報告しました。「成功者は故郷に帰り葬儀を挙げることができたが、多くは現地でふるさとを想いながら亡くなった」と哀切に満ちた報告も。

学生さんも緊張のあまり、早口でしゃべったせいか、予定の時間を大幅に消化。しかし、しっかり読み込まなければ語れない内容でした。

第3部は会場とのディスカッション。さすが移民の島とあって、「安下庄も移民を多く出した町。たくさんの資料が埋もれている。引き続き調査を」。「周防大島のハワイ移民資料館はもっと地元の人が利用してほしい。埋もれた資料をもっと活用したい。情報を館に入れてほしい」「あれだけあった学校の古いピアノがほとんど廃棄されて沖家室にしか残ってない。もっと古いものを大事にしてほしい」という注文も。
2時間におよぶフォーラムも、まだまだ参加者からたくさんの発言がありそうな雰囲気で幕を下ろしました。
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その後は沖家室の宿でねぎらいの打ち上げ。手違いで料理が届かずというハプニングも、急ごしらえのツマミ。でも熱い交流がえんえんと続きました。皆さん、御苦労さまでしたm(_ _)m。

以上、現場からショージがお伝えしました。

【補注】
沖家室に残る古いアップライトピアノ。ハワイの成功者として名を残す大谷松次郎氏らが1929年(昭和四)に旧沖家室小学校に贈ったもの。その後このピアノは廃屋と化した沖家室小学校のかたすみにひっそりと放置されていました。すでに弦はさび、ハンマーもぼろぼろ。

2002年、インターネット上の沖家室島出身者を中心の交流サイト「寄り合い」でこのことが話題に。このピアノの保存を強く願ったのは、大谷松次郎氏の妹を祖母に持つ広島在住のピアニストSさん。ネット上で一気に盛り上がり、島の泊清寺住職が中心となって復活に動き、その年のお盆に復活のコンサートが旧小学校の講堂で開かれました。そのピアノに最初に指を置いたのがSさん。「大叔父が残したピアノで演奏できて幸せです」と喜びをかみしめていました。

当時の中国新聞も記事で伝えています。
http://www.h3.dion.ne.jp/~kamuro/sub90.htm

ハワイから贈られたピアノの復活の軌跡
http://www.d3.dion.ne.jp/~shouji/sub45.htm
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民宿 鯛の里(コイの里ではありません。タイの里です。タ・イッ!! )
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