2025-05-01から1ヶ月間の記事一覧
僕の名はゆうた。東京に住んでいる。父と母は共働きのため夏休みの日中は僕がひとりになるから、なす休みの間、僕は瀬戸内海の島に住む父方の祖父母のところへ行くことになった。「じゃあ、行ってくるよ」ゆうたの声は、駅のホームの喧騒にかき消されそうだ…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第11話 闇ヲ継グ者 竹の笛の音が静かに消え、火の谷に平穏が戻ったのは、ほんの束の間のことだった。ゆう、ナミ、テル、アヤの四人は、谷の中央に現れた古い石碑の前に立っていた。その石碑は黒く煤け、何かを封じるように縄が…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第10話「月下の盟(めい)」 夜の帳が降り、空には冴え冴えとした満月が浮かんでいた。風も炎も静まり返り、水面には月光が銀の道を描いている。 ゆうたちは、火の谷を越えた先の古びた神殿跡にたどり着いていた。そこは「三柱…
第9話「風の神の記憶」 朝霧に包まれた山の尾根を越え、一行は再び「風の峠」へと戻っていた。 谷の怒りを鎮めたあとも、空はなおざわめき、風は何かを告げようとしていた。 アヤは深く目を閉じ、気付かなかった。 アヤ「この風は……『神の記憶』が、目が覚…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第8話「火の谷の目覚め」 山々が赤く染まり、空がざわめき始めたのは、風の峠を越えてから数日後のことだった。ゆうとナミ、そしてテルは、「火の谷」へと向かっていた。道案内を務めるのは、風の巫女・アヤ――静かな瞳に、風と…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第7話:「風の峠(かぜのとうげ)」 ――風に託された記憶と、影から見守る者 風が唸るように吹きすさぶ山道を、ユウとハナは黙々と登っていた。水の精が最後に指し示したのは、竹林の北にある“風の峠”だった。 背丈より高いスス…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第6話:水の底の記憶 火の谷を癒した翌朝、ユウとテルはまだ朝霧の立ち込める山道を下り、村の南にある「忘れ川」へと向かった。 かつて清らかな流れをたたえ、稲を育て、子どもたちが魚を追いかけて遊んでいたその川は、今で…
「竹林の守人(もりびと)テル」 第5話:火の谷の目覚め 竹林を抜け、山の裏手に広がる「火の谷」へと向かうユウたち。空は鈍い赤色に染まり、谷からは時折、熱を含んだ風が吹き上げてくる。 テルは一歩踏み入れたとたん、かつての記憶に胸を締めつけられた。 …
「竹林の守人(もりびと)テル」 第4話:「竹の声を聞く者」 影の主との邂逅から数日が過ぎた。竹林には再び穏やかな風が吹き、霧も晴れ、命の息吹が戻りつつあった。 だが、テルは知っていた。これは終わりではなく、始まりなのだと。 山小屋の中、テルは囲炉…
物語「竹林の守人(もりびと)テル」 第三話:「影の主(ぬし)」 神鳴石の封印が再び強まり、山に一時の静けさが戻った。だがテルの心は重かった。黒い靄は完全には消えていなかったのだ。 夜更け、山小屋の外に出たテルは、静かに空を仰いだ。星々のきらめき…
物語「竹林の守人(もりびと)テル」 第2話:「封印の裂け目」 テルが指し示した尾根の先――そこには、古くから「神鳴石(しんめいせき)」と呼ばれる岩があった。山の民の言い伝えでは、その石は天地がまだ一つだった時代に空から落ちてきたとされ、「災いを封…
創作物語「竹林の守人 テル」 第一話:「山が呼ぶ声」 ーーー 深い山奥、里から遠く離れた竹林に、「テル」という名の男が住んでいた。彼はかつて都市で科学者として働いていたが、ある日突如として研究を捨て、静寂の地を求めてこの山へと移り住んだ。 竹林…
qr.paps.jp 復元船、立派なものです。 朝鮮通信使は江戸時代に12回来日しており、そのうち11回は上関に寄港しました。この沖家室島の本陣・泊清寺にも逗留した記録が残されています。 通常、朝鮮通信使の使節団は約500名で構成され、それを護衛・先導する船…