鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

昭和39年講談社「日本」に宮本常一が寄稿

 

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昭和39年講談社「日本」

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宮本常一著作集②「日本の中央と地方」

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古い書物を漁っていると、講談社の「日本」という月刊誌に「宮本常一」という文字が目にとまった。

「日本列島にみる中央と地方ー文化と経済の偏向過程を実証するー」。私は過去25年ほどの間に4千日を旅ですごした、から始まる文章には、離島や僻地の過去と現在を例に挙げなら、問題点を考察している。現在とは、この本が出版された昭和39年での現在のこと。昭和20年の敗戦から19年を経た現在でもある。戦地から引き上げた人であふれた地方は次第に都市に向かって流れ、衰退をしていく様子を捉えている。あるいは、離島が寂れていく過程も引き合いにしながら、中央資本が離島に進出することによって、生産や流通が収奪されていく過程も明らかにしている。

最期の章は、「地方自主経済確率へー国の門戸を四方に開き地場資本を蓄積したときー」。今後の課題について述べている。ここで僕が紹介するよりも、画像を張りつけたのでダウンドーロするなどで、是非ご覧になってほしい。

この章は、その2年後に宮本常一著作集②「日本の中央と地方」の最初の章に収録された。

他の論者の論文も興味深い。敗戦から約20年、今とかわらぬ憲法論議が交わされていることだ。ただ現在の憲法論議と違うのは、大日本帝国憲法から日本国憲法にかわり、主権が君主から国民に、つまり主権在民をどう根付かせていくかということに割かれていて、現在のように国による、国民主権にどう制限を加えるかという乱暴な議論ではないということだ。

宮本常一がみた昭和、それから半世紀、中央政府と地方行政は、なにをしてきたのだろう。この国は、そして我々の生活は進歩したのだろうか。宮本常一が「民俗学の旅」で述べた言葉が胸に突き刺さってくる。

「いったい進歩といわれるものは何であろうか。発展というのは何であろうか。失われるものがすべて不要で、時代遅れのものであったのだろうか。進歩に対する迷信が退歩しつつあるものを進歩と誤解し、時にはそれが人間だけでなく生きとし生きるものを絶滅にさえ向かわしめつつあるのではないかと思うことがある」

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