鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

春一番 吹く

2月19日は春一番が吹いたそうですよ

 気象庁は19日、山口県を含む九州北部と四国で、「春一番」が吹いたと発表した。いずれも昨年は吹かず、2021年2月20日以来となった。気象庁によると、低気圧が発達しながら日本海を東寄りに進み、南風が吹いた。気温も上昇した。(中国新聞

ところでこの「春一番」という言葉、「民俗学者宮本常一は研究のため郷ノ浦町を訪れてこの『春一番』をいう語を採集し、1959年(昭和34年)に壱岐で用いられている語として『俳句歳時記』で紹介した。これをきっかけに、「春一番」は新聞などで使われるようになり、一般に広まったとされる」(wikipediaから)。

春一番」の語源は宮本常一先生だそうですねとたまに言われます。でも本当はこういうことだそうですよ。

我が島の周防大島沖家室島ではこれを「悪南風(わるばえ)」と言って恐れられてきました。

もうひとつ恐れられたお天気言葉に「秋ヤマジは人を喰う」

ヤマジは山からの吹き降ろしの風で、ここでは台風のことです。周防大島やその最南端の沖家室島でいうヤマジは四国山地をさすようです。台風が萩沖を通り、周防大島の真北に来るまでは進行方向への力が合わさって強烈な南風(ハエ・マジ)が吹きます。それを過ぎると西風に変わり、通り過ぎると北の風(アナジ)が吹いてほっとします。一番恐れられるコースです。

下の図は十数年前にTEM研究所(宮本常一記念館の設計者)の民俗調査を僕がお手伝いした、古老から聞きとった風の呼び名です。これは沖家室ですが、周防大島の各地もおそらく同じような呼び方をすると思います。聞きとりをしたお年寄りはほとんどあの世にいきましたから、貴重な記録だと思います。

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