鯛の里日記

周防大島町沖家室島の民泊体験施設・居酒屋の日常と、宮本民俗学の学びを書きます。

カヤモノリとアオサの群生

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写真を整理していたら貴重な写真が出てきた。撮ったのは海藻研究者の新井章吾さんかな? 小田水産の小田くんかな? 1013年2月28日とある。

最初の一枚はカヤモノリ、もひとつはアオサ(ヒトエグサ)の群生。山口県熊毛郡平生町佐賀の小田水産の前浜で撮られたもの。珍しい。昔はスマホなんてなかったから、自分の若いころもみられたが一枚の写真も残っていない。

さいころ、アオサ採りをやらされて苦労した記憶がある。炎天下、岩へバリバリに張り付いたアオサをはがす。面白いように採れるが、あとがたいへん。潮がバッサバッサかぶり、それに砂をかんでいる。これを取り除くのがえらいこっちゃ。そんなものを売るとドえらいクレームがくる。

今から30年前のころは東和漁協のブランドとして流通していた。10キロ単位で仕入れて即冷凍庫へ。

ずいぶん前に、ある大手の加工現場をのぞいた。金属探知機や防じん服にエアーシャワーとか水の管理など、元自分が勤めていた医療現場を思い出すほどの徹底ぶり。やはり専門メーカーはスゴイし、加工業はここまで徹底しないといけないのか。自分たちには手に負えないと愕然とした。

海藻は時期がくれば必ず生えるものではない。過去にはヒジキがほとんど採れない年があった。ジャマモクとも呼ばれるアカモク、これもトンネルの前の松の下も佐連のカンベラさんの加工場前の海もあれほど生えていたのにほとんど見ない年がった。

海藻研究者の新井章吾さんによると、海中調査でアイゴの幼魚が新芽を食いつくす場面よく目撃したと言う。あっというまに砂漠のようになると。アイゴは地元ではバリと言うが、本来は温かいところを好む魚。海水温の上昇で冬でも南下しなくなったと言う。

磯焼けの原因はこのアイゴ説。この説に当初、まわりはほとんど耳を傾けなかったと言う。当の僕もまさかと思った。だいいち、見たこともない。父にアイゴと言ってもそんな魚は知らん。釣ったこともないという。どうやら父の漁場にはいなかっかもしれないし、温暖化するの前の海にはいなかったのかもしれない。

温暖化による食害はナルトビエイがアサリを捕食するなどで知られるようになり、アイゴによる磯焼けも知られるようになった。

温暖化は皮膚感覚でもわかる。僕がまだ中高生のころは、2月に海へ落ちると命をとられると恐れられていた。今はどうか。まったくそんなことはない。だいいち、アジなど年から年中釣れる。この魚は春から夏の魚。子どもの頃は冬にはいなかったのだから。